在来(タイル)のお風呂の知っておくべき事
一戸建てのお家の場合、最近はシステムバスが多いですが、やはり在来工法のお風呂がまだまだ多いと思います。
在来工法のお風呂とはタイル張りのお風呂の事です。
在来(タイル)のお風呂の長所は
「自由な設計でできる事」
「限られたスペースを有効に使える事」 などがあげられますが、
短所としては
1 温まるのに時間がかかる。
2 防水性の問題 です。
1については高齢者にとって非常に重要な問題です。
寒い冬場の温度差は体に負担がかかります。
2については深刻な問題です。
何年も経つとタイルの目地やセメントはヒビ割れてくる事があります。
そこから、土台に染み込んだりします。
戸建ての1階に設置してある浴室の壁は、ほとんどが、「アスファルトフエルト紙」や「透湿防水シート」を下地材に貼って防水しています。
浴槽や洗い場の普段から大量の湯水に接する床から1mあたりまでは基礎の上にブロックが積んであります。
その上にタイルを貼っています。
実はタイルは防水ではありません。
目地から染みてしまいます。
在来工法のお風呂の問題点~防水性
床から1mくらいブロックを積んでいますが、
タイル目地は防水ではないので、水は染みていきます。
ブロックに水が染みても、乾けば問題ありません。
しかし、ドアの下などは木材下地ですので、ここから漏水いたします。
浴室と脱衣場の境目の床が、もしベコベコしてたりすると、深刻です。
土台に水が染みてボロボロになっている可能性があります。
もっと深刻な場合は、床から1mくらいのブロックを積まずに、浴室を設置しているお家です。
このようなお家のケースは稀なケースではありません。
↑ こちらの場合はお家の重要な柱が水腐りして、朽ちています。
毎日のように大量の湯水を使うお風呂に、下地に防水シートだけでは何年も防水効果は持続しません。
また、長年使用したことにより、目地やタイルにヒビなどがあれば、そこからダイレクトにシートに水があたるわけですから、このように下地や柱が水腐りします。
ブロックを積んでいるかいないかは、外観から分かりません。
解体しないとわからないのですが、外壁の塗装が浮いていたり、外壁を軽く叩いてみて、空洞のような感じがあれば、ブロックを積んでいない可能性があります。
漏水の状態のまま放っておくとさらに深刻な事態に
漏水が原因で土台や柱が水腐りの状態になり、放っておくと朽ちていきます。
それが、お家にとって重要な柱の場合、お家の耐震性はなくなり、修理、補修も高額な金額がかかってしまう事もあります。
通し柱が水腐りで朽ちてしまうと、補強や補修はできても、入れ替える為には2階を解体しなければ・・というような事にもなりかねません。
それだけではありません。
最も怖いのはそこから『シロアリ』が発生する事です。
不安をあおるつもりはないですが、 私の経験の場合ですと、20~30年経ったお風呂を解体工事をした時に、約半分のお風呂は土台もボロボロですし、そのうちの5件に1件ぐらい『シロアリ』に出くわします。
上↑は在来工法(タイルのお風呂)を解体した写真です。
本来タイルの下はバラ板とよばれる板や下地の材木があるのですが、シロアリに喰われてほとんどありません。
↑シロアリがいました。
あまりにびっくりするぐらいいましたので写真は少し加工しています。
白アリは発生すると、防除工事をする必要があります。
防除工事の場合、浴室だけを工事しただけでは効果はありません。
通常、1階すべての床下を防除工事してはじめて保証がつきます。
このような状態になる前に浴室リフォームをお勧めします。
在来工法の浴室リフォームで満足するリフォームにするには
在来工法のお風呂をリフォームするには大きく2通りあります。
①在来工法のお風呂を解体してもう一度在来工法のお風呂にリフォーム
②在来工法のお風呂を解体して、システムバスを設置する
①のもう一度在来工法のお風呂にリフォームについては、浴槽を入れ替えたり、タイルを上貼りするような方法もあるのですが、防水が心配な場合、やはりすべて解体してから設置する方法をお勧めします。
リフォーム工事の流れとしては
・解体
・給排水工事
・防水シート・ラス工事
・左官下地工事
・浴槽設置
・タイル工事
・天井工事 その他
のような感じです。
左官下地工事やタイル工事は乾かす事が必要なので、何日かの養生期間が必要です。
メリットとしては、浴室内の大きさが変わらない事。
冷たいイメージのタイルですが、床にはヒヤっとしないサーモタイルやデザイン豊富なタイルがありますので、お好みのイメージで造れます。
防水においても、下地が必要ですが、アスファルト防水やFRP防水など防水性に優れた工法もあります。
デメリットは工期の日数がかかる事とメンテナンス性の悪さです。
工事日数は養生期間がかなり必要な為という事ですが、メンテナンスにおいては補修の必要な場合でも防水性が保たれるかの心配もありますし、点検口もないので点検もできません。
②の在来工法のお風呂を解体してシステムバスを設置ですが、この方法が一番オススメです。
まず、防水性に優れ、メンテナンス面でも容易に点検できます。
また、在来工法の浴室に比べ、暖かく、ヒートショックの心配も少なくなります。
お掃除の面でも楽になり、なにより、機能が豊富で快適さは在来工法のお風呂に比べ数段快適になると思います。
入口の段差も解消します。
デメリットは既存の浴室よりも浴室内は一回り小さくなる事です。
(但し、在来工法の場合、小さめの浴槽を設置している場合が多く、ほとんどが既存の浴槽よりも大きくなる場合が多いです。)
価格は選ぶシステムバスによりますが、在来工法の浴室よりも少し高くなる場合が多いように思います。
浴室リフォームをご契約する前にチェックすべきこと
在来工法の浴室にしてもシステムバスにするにしても、まず、浴室リフォームをするにあたり、
「普段、何に悩んでいるのか?」
「何にこまっているのか?」
「こうあったらいいなという事は?」
などの事を明確にしておく事です。できれば優先順位をつけて。
例えば、浴室がいつも寒くて困っているなら、システムバスを設置したり、浴室換気乾燥暖房機を取り付けたり、また断熱パックなどのオプションを取り付けたり。
「掃除がやりにくい」とお悩みの方には、汚れのつきにくい人口大理石の浴槽やお掃除しやすいシステムバスを設置したり。
悩んでいる事、困っている事に優先順位をつけて明確にしたら、実際に見て体験できるショールームに行く事をお勧めします。
チラシなどでは分からない、メーカーの豊富なオプションなどは、お悩みも軽減、解消する商品が見つかるはずです。
最後に業者選びですが、
・希望にそったプランができる会社
・見えない所が補修等必要な工事が発生した場合、柔軟な対応をしてくれる会社。法外な追加金額をとらない会社
・信用できる人
ではないでしょうか?