在来工法の浴室からシステムバスにリフォームする場合、気を付けなければいけない事の一つに、『ダブルトラップ』があります。
トラップとは、排水管の臭気を、排水管に水を貯めて防ぐしくみの事をいいます。
洗面台の排水管等のS管や浴室の洗い場、洗濯防水パンなどの排水の所にコップのように水が溜まっているもの。
これを「トラップ」といいます。
落とし穴が語源のようです。
洗面台のS管の形はまるで落とし穴のようでしょう。
便器に水が溜まっているのも同じように臭気が上がってこないようにする為です。
このトラップは浴室やキッチン、トイレなど水回りの設備には必ず取り付けられています。
「ダブルトラップ」とは、このトラップが2つついた状態の事をさします。
ダブルトラップの状態ですと、極端に排水の流れが悪くなります。
これはリクシルの浴室リフォームの付属の図面です。
トラップが2つありますと、トラップとトラップの間に空気がたまってしまいます。
排水を大量に流した場合、この空気が逃げる場所がなく、押し出せない為、極端に流れが悪くなります。
マンションでの水まわりリフォーム工事においては、ダブルトラップを心配する事はほぼありません。
(マンションであっても排水管が極端な逆勾配になっている場合は除きます)
問題は在来工法の浴室(タイル張りの浴室)からシステムバスにリフォーム工事する場合です。
在来工法の浴室からシステムバスにリフォームする場合に気を付けるべき事とは
在来工法の浴室からシステムバスにリフォームする場合、気を付けなければいけない事は多々あります。
在来工法の浴室からシステムバスにリフォームする工事は多いです。
在来工法の浴室は、大きさやデザインに自由度が多い反面、防水の面において不安が残る浴室です。
その為、システムバスにリフォームする工事は年々多くなっていますが、排水の流れが悪くなったとの問い合わせも多く聞きます。
先程、キッチンや浴室、防水パンなどの水回りの設備にはトラップが必ず取付られていると言いましたが、ついていない設備商品があります。
それは浴槽です。浴槽にはトラップがついていません。
在来工法の浴室の場合、浴槽は排水管にダイレクトに流れています。
これは、在来工法の浴室を解体した写真です。
浴槽を解体するとこのようになっています。
浴槽に溜まったお湯やお水はこの排水に流れます。
この排水管は家の外で汚水なども流れる排水管と合流して流れていきます。
勿論、このままでは臭気が上がってしまいますので、排水が合流する外の枡で工夫して臭気が上がらないようにしています。
こちらも臭気を上がらないようにする工夫の一つ。
このエルボに水が溜まる状態を作る(トラップ)事で臭気は上がってきません。
これは「会所枡」と呼ばれいわゆる「溜め枡」です。
以前は雑排水管もこのような「溜め枡」に接続している住宅も多くありました。
ゴミ等が排水管に流れにくくする為に、下にゴミが沈殿するしくみです。
現在の新築工事では、このような溜め枡は雨水に使われる事はありますが、雑排水管を含み汚水管は全て「インバート枡」が使われています。
インバート枡の中でも、汚水管と合流している場合、臭気が上がってこないように、
「トラップ枡」を合流部分に取り付けている場合もあります。
このまま、システムバスにリフォームすると、システムバスには必ずトラップが取り付けてありますので、「ダブルトラップ」になり、流れが極端に悪くなります。
なぜ、ダブルトラップを見落としてしまうのか?
リフォーム工事をした後、排水の流れが悪くなっている要因には、
・工事中になんらかの異物が排水管につまった。
・排水管が逆勾配
・ダブルトラップ
等が挙げられます。
異物が詰まったり、逆勾配というのはほとんどの職人さんは特に気を付けて工事をしていますので、あまり例は少ないと思います。
やはり「ダブルトラップ」の見落としが多いのが現状のようです。
なぜ、ダブルトラップを見落とすのでしょうか?
まず、営業マンの知識不足・確認不足が挙げられます。
ただこれはダブルトラップに限らず、リフォーム工事全般に言える事です。
そして、次に、意外にも工事業者の知識不足・確認不足があります。
「ダブルトラップでも少し流れが悪くなる程度」
と間違った認識をされている業者も多いと聞きます。
最近のシステムバスはバリアフリーで脱衣場と浴室洗い場の段差がない商品が多く、ダブルトラップの状態で浴槽の水を排水すると脱衣場の方まで溢れてしまいます。
現状、新築の家でもダブルトラップ状態のままのお家も多くあります。
私も20年も前ですが、新築のお家に引っ越して来たときに、排水の音がすごくうるさいので、確認したらダブルトラップでした。
どこを流しても後から「ボコン、ボコン」とすごい音がします。
ダブルトラップの解消方法
ダブルトラップであっても簡単に解消できる場合があります。
トラップとトラップの間の空気を逃がしてやる事ができれば解消します。
上記のような溜枡にエルボがついている簡易的なトラップならこのエルボを下に向けるだけで解消します。
また、次の上記写真のようなトラップ枡ならエアキャップに取り換えるだけで解消します。
但し、簡単に解消できないインバート枡もありますので、その場合は業者に相談するといいでしょう。
ダブルトラップの解消方法については、こちらの記事もご覧ください。