マンションの浴室リフォーム、知っておくべき事
マンション等の集合住宅用のシステムバスも日々、進化しています。
お掃除の面も格段に掃除し易く、また節水シャワーや高断熱浴槽などは標準設備という商品が多く、機能面においても格段に進化しています。
今までのマンション用ユニットバスは浴槽の下が汚れて掃除ができないのが多かったのですが、最近のマンション用システムバスは、浴槽の下が汚れるような事がない商品ばかりです。
様々なシステムバスがある中、お家には、どのような商品は設置できて、また、どのような商品は設置できないのか?
マンションによってそれぞれ違いますし、団地などの集合住宅もそれぞれ違います。
同じ浴室リフォームでも、一戸建ての浴室とは事情が少し変わります。
マンションの浴室の特徴を知る事で、「どのようなシステムバスがいいのか?」プランニングも変わってくると思います。
既存の浴室はどんなタイプか?見るべきポイント
集合住宅の浴室といっても様々な種類があります。
私がこの浴室リフォームの仕事をはじめた頃は、マンションは追い炊きや自動お湯はりがないユニットバスばかりでしたし、団地などの浴室はバランス釜という浴槽と給湯器が並んだタイプのお風呂ばかりでした。
現在では、マンションも団地も自動お湯はり機能やカワック(温水式換気乾燥暖房機)などが付いたユニットバスも多く、給排水管も鉄管から塩ビ管。そして塩ビ管から架橋ポリ管や樹脂管に変わってきました。
マンションと一戸建ての浴室リフォームで大きく変わるのは、「マンションの浴室リフォームは専有部のリフォームであり、共有部を改造したりしてはいけない」という事です。
つまり、一戸建ての場合はオーナーである施主様が望めば、壁に穴を開けたり、改造したりできますが、マンションの場合は共有部は改造できないという事です。
壁に穴を開けたりできませんので、現在のユニットバスが自動お湯はりなどの機能が付いていないユニットバスはリフォームしても自動お湯はりの給湯器は、取り付ける事はできません。
同様に、温水式の換気乾燥暖房機も後から取り付けるのは難しいのです。
※既存の給湯器がバランス釜や外壁貫通設置型(ホールインワンやバスイング)の場合、その開口を利用して取付られる場合もあります。
既存の浴室はどのようなタイプの浴室なのか?
まずは、浴室と密接に関係する、既存の給湯器を知る必要があります。
「給湯専用」「高温水供給式」「自動追い炊きタイプ(オート・フルオート)」の3つのタイプに分かれます。
給湯器の種類によってシステムバスの仕様も変わります。
ひと昔前のユニットバスは、浴槽にも洗い場にも使える「兼用水栓」が主流でした。
現在では、カタログやショールームで最新のシステムバスを見ても「洗い場水栓のみ」が多くなっています。
20年ほど前から、新築マンションでも、「自動お湯はり」のできる給湯器を設置する事が多くなりました。
「自動お湯はり」のできる給湯器は、浴槽にお湯をためるのも、浴槽内の循環アダプターからお湯が出てきます。
また「たし水」などの機能もある事から、水栓から浴槽に水をためる必要もなくなり、現在のような「洗い場水栓のみ」のタイプのシステムバスに変わってきました。
10年以上前のシステムバスは自動お湯はりの給湯器が設置してあっても、兼用水栓のシステムバスも多いので、浴室リフォームをした場合は、
給湯専用の場合→兼用水栓、
高温水供給式さし湯タイプ・自動追い炊きタイプ(フルオート・オート)の場合→洗い場水栓
に変わります。
給湯専用であっても「洗い場水栓」にしたい場合は「浴槽水栓」と2つ水栓を取り付ける事で可能になります。
余談になるかもしれませんが、給湯器も「エコジョーズ」が主流になっています。
エコジョーズとは、捨てていた排気ガスの熱を利用する、効率の高い給湯器です。
ガス代もお安くなり、CO2も減らせるエコな給湯器ですが、構造上、ドレン水が発生する為、マンションなどのPS(パイプシャフト)ボックスに取り付けてある給湯器では、ドレン水を排水できない為、取付する事ができませんでした。
いまでは、排水のできないPSボックスであっても、既存の給湯器が「自動追い炊きタイプ(フルオート・オート)の場合に限り、「三方弁」方式でエコジョーズに取り替えができます。
「高温水供給式」の場合は残念ながら取り替えは不可となります。
どこのメーカーのシステムバスもいまでは、「三方弁」に対応して、部材がありますので、システムバスのリフォームの際には、給湯器も一緒に工事をした方がよりスムーズに工事ができると思います。
システムバスリフォーム、サイズアップは可能か?
「せっかく、浴室のリフォームをするのだから、いまの浴室より少しでも大きい浴室にしたい・・・」
とお考えの方も多いと思います。
大抵のマンションで浴室のサイズアップのリフォームは可能です。
マンションは鉄筋コンクリートですので、浴室まわりの壁は、一戸建ての木造住宅に比べ、柱や梁など複雑な構造ではなく、比較的容易に間仕切り壁を撤去したり、広げたりする事ができます。
ただし、団地などの集合住宅に多くみられる、浴室の間仕切り壁が、コンクリートやブロックを積んで造ってある場合、ほとんどの場合、この方法での浴室リフォームのサイズアップは不可の場合が多いです。
壁を解体して広げれば、浴室を大きくする事も可能ですが、洗面所が狭くなったり、また費用もかかる事ですので、「できればいまのスペースのまま壁を壊さずに浴室を大きくしたい」と考える方が大半だと思います。
壁を壊さずに、少しでも大きいシステムバスを設置する事は可能なのか?
それは、お家の条件次第で可能です。
その条件とはサイズアップしたシステムバスの最低設置寸法を確保できればサイズアップは可能です。
では、どこを見て、どこを採寸すればいいのか?
最終的には依頼されるリフォーム会社さん等に見て頂かないといけませんが、簡単に見れる方法をお教えします。
サイズアップのシステムバスを設置できるかどうかは、システムバスの天井点検口より、システムバスを設置しているスペースを採寸する必要があります。
脚立などに登って、天井点検口から確認してみると、余裕のあるスペースがあったりする場合があります。
上の図面はLIXILリノビオV1316の図面です。
カタログの仕様図やショールームなどで見積もりして頂いた図面をご確認ください。
「UB据付必要寸法min1660」と表示してあります。
このシステムバスの場合は長辺寸法は1660㎜あれば、設置可能です。
同様に短辺のUB据付必要寸法min1360と表示していますので、1360㎜あれば設置可能です。
LIXILさんのリノビオV1316の場合、設置する為には1360×1660必要であるという事です。
既存のシステムバスが1116や1216の場合、浴室天井点検口から採寸した時に1360×1660あればサイズアップ1316のシステムバスが設置可能という事になります。
※梁があったりする場合でも「工場梁加工」や「フリーサイズ梁」など、どこのメーカーのシステムバスも対応していますが、梁があると採寸が難しいので、やはり設置される工事業者さんにご相談する事をお勧めします。
進化するシステムバス、メーカー別の特徴とは
システムバスは年々進化しています。
「在来工法の浴室リフォーム成功のコツ」のページでも述べましたが、システムバスを選ぶにあたり、
「普段、何に悩んでいるか?」
「既存の浴室で困っている事は?」
「こうあったらいいなと、思う事は?」
のどの事を明確にし、できれば優先順位をつけるという事が大事です。
「汚れが取りにくい」「お掃除が大変」
という事で悩んでいるのであれば、TOTOリモデルバス「お掃除らくらく人大浴槽」やLIXILリノビオV「キレイ浴槽」
「寒くて大変」とお悩みの方は「換気乾燥暖房機」を取り付けたり、パナソニック リフォムスの「スゴぽかフロア」の床暖房などがあります。
他にもTOTOリモデルバスWGのすぐに乾いて、床がやわらかい「ほっからり床」やパナソニック リフォムスの「エステケアシャワー」や「酸性美泡湯」など美容にも特化したメーカーオリジナルなオプションもあります。
まずはショールームで、各メーカーの特徴をご体感ください。
悩みを解決する満足できるシステムバスがみつかると思います。